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経営コンサルタントのための物流コンサルティング入門講座

物流コンサルティング入門(1) ~運送業、倉庫業、物流業の違いとは

■経営コンサルタントのための物流コンサルティング入門講座(1)

中小企業診断士などの経営コンサルタントは、業務の中で物流業のコンサルティングを行う機会もあるかと思います。
その中で物流業の特性や特徴、また独自に使われる用語など、物流業のコンサルティングを行ううえで知っておいた方がよい知識について、これからご紹介していきます。
第1回目は、物流に関する業種の定義について。

先日、知人の経営コンサルタントが物流センターの業務請負や商品の保管、発送代行などを行っている会社(ここではA社とします)に「IT導入のコンサルティングを行った」とSNSで紹介していました。
私もA社とは仕事でお付き合いをしたことがあり、どんな業務を行っているのかはよく知っています。
知人はSNSの中で、『“運送業”のIT導入支援を行いました』と紹介していました。

しかし、A社の実態は運送業ではありません。
A社は確かに貨物利用運送事業の登録を行っているので運送を業として行っていることも事実ですが、それは業務のごく一部です。
自社のトラックも持っていません。
(貨物利用運送事業とは何かについては、別の機会で詳しく紹介したいと思います)
もしA社に『貴社は“運送業”ですよね』と言ったら、A社の人たちは首をひねるに違いありません。

では、物流業務を行っている業種にはどのようなものがあり、どのような定義がなされているのでしょうか。
なおここでは、鉄道や航空、船舶などを除く、一般的によく見かけるトラック運送や物流センターで作業を行っている事業者について主に説明します。

物流業務を行っている事業者を呼ぶとき、「運送業」、「倉庫業」、「物流業」という言い方がよくなされます。
それらの違いは何か、まず国が定めている日本標準産業分類を見てみます。

そこでは、
大分類…「運輸業,郵便業」とあります。
郵便業を除くと、大分類は運輸業となります。

次にその中分類を見ると、
「道路貨物運送業」
「倉庫業」
「運輸に附帯するサービス業」
と出てきます。

この中分類の三つが、主に物流業に該当するわけです。
(前述のとおり鉄道や船舶等を除いています)
日本標準産業分類の定義では、大分類として“物流業”を行っているのは「運輸業」、その中に「運送業」、「倉庫業」、「その他運輸に附帯するサービス業」があるということです。

しかし、世間一般では「運輸業」という言い方はあまりしません。
一般的には物流(運送や物流センター運営)を行っている事業者は「物流業」と呼ぶことが多いです。
それに対し、主にトラック運送を主体として行っている事業者は「運送業」、倉庫を所有してそのスペースの賃貸や物品の保管のみを行っている事業者は「倉庫業」と呼ぶのが無難でしょう。

ちなみに「運輸に附帯するサービス業」にはどのような事業者があるかというと、前述の「利用運送業」、「こん包業」などが該当します。
こん包業というのは、運送のために物品の荷造りを行っている業者で、コンテナ輸送などにおいて荷崩れや傷、汚れなどが付かないようにすることを専門的に行っています。

以上をまとめると、
トラック運送を主体に行っている事業者は「運送業」、倉庫を所有してそこを賃貸していたり保管や発送代行などを行っていたりする事業者は「倉庫業」、それらを包括的に(物流センターでの作業や流通加工、発送、輸配送などを)行っている事業者は「物流業」と呼ぶのが一般的でしょう。
もちろんそれ以外にも名称はあり、「3PL(サードパーティーロジスティクス)」や、輸出入の代行を行う「乙仲(おつなか)」などと呼ばれている業者もあります。

では、冒頭のA社は何と呼ぶのがふさわしいのか。
A社は自社の倉庫は持っておらず賃借したスペースで保管業務や流通加工、発送を行っており、また配送はすべて外部の運送会社に委託しているので、「物流業」と呼ぶのが最もふさわしいということになります。
知人のコンサルタントは物流の専門家ではないので“物流”と“運送”という言葉にそれほどの違いを感じていなかったと思われますが、あえて妥当と思われる呼び方をするとそのようになります。
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