物流コンサルティング入門(5)~自車で運ばない運送業(貨物利用運送)とは
■経営コンサルタントのための物流コンサルティング入門講座(5)
物流業のコンサルティングを行う経営コンサルタントに知っておいていただきたい知識を解説しております。
第5回目は貨物利用運送業について。
トラック運送業には、自社所有のトラックで輸送を行っている企業と、他社のトラックで輸送を請け負っている企業があります。
また、自社でトラックを所有している企業でも、持っているトラックであらゆる輸送依頼に対応できるとは限りません。
自社でトラックを所有していない場合や、所有しているトラックでは対応できない場合、当然自車で輸送はできません。
その場合、他者のトラックを借りて運送業務を行うことになります。
他者のトラックを借りる行為は一般的に「傭車(ようしゃ)」と呼ばれます。
(傭車は、運転するドライバーもその他者の従業員であり、燃料代など諸経費もその傭車先が負担します。)
そのように他者のトラック(傭車)を利用して運送を行う業者を「貨物利用運送」事業者といいます。
(※なお、ここでは主にトラック輸送について述べますが、鉄道や船舶、航空の輸送にも同様に利用運送事業者が存在します。
また、トラックを1台も所有せず、すべて傭車で輸送を請け負っている事業者もあります。)
貨物利用運送事業者は、荷主から貨物の輸送を依頼された場合、どこかトラックを所有している運送事業者にその輸送を委託します。
トラックを所有して実際に運送を行う事業者は、「実運送(じつうんそう)」事業者と呼ばれます。
つまり、利用運送事業者は輸送を実運送事業者に紹介する仲介業といえます。
そして荷主からもらった運賃から手数料(仲介手数料)を差し引いた金額を、実運送業者に運賃として支払います。
では、なぜ利用運送事業者が世に存在するのでしょうか。
手数料を引かれるのであれば、荷主が直接実運送事業者に輸送を依頼すれば、実運送事業者は多くの運賃をもらえるのではないか。
そのような疑問を持つかもしれません。
確かに、すべての荷主が実運送事業者に輸送を依頼できれば利用運送事業者は必要ないかもしれません。
しかしそれは実際は不可能です。
荷主はたくさん存在するあらゆる実運送事業者の情報を持っているわけではありません。
実運送事業者は、それぞれ運ぶ荷物の得意分野があります。
たとえば、冷蔵が必要な食品輸送が得意なところ、大型の鉄鋼製品などの資材輸送が得意なところ、振動に弱い精密機械輸送が得意なところなど、それぞれの企業で所有するトラックの種類には限りがあります。
また、長距離を運んでくれる企業もあれば、長距離輸送は受けず中短距離の輸送に特化している企業もあります。
それらさまざまな運送業者の特性を把握し、常に適した運送業者に輸送を依頼できる荷主は限られるでしょう。
また、適した運送業者を知っていたとしても、輸送をお願いする日にトラックが用意できるとは限りません。
そのため、世にあるたくさんの輸送業者の中から適した輸送業者を探してくれる業者、それが利用運送事業者ということになります。
実運送事業者としても、利用運送事業者(元請け)から輸送の委託が来ることで、車両の稼働率を高めて売上を上げることができるというメリットもあります。
なお、実運送事業者であっても、利用運送事業を行っている運送会社がほとんどです。
その理由は上述のとおり、常に自社のトラックで運べるとは限らないからです。
自社のトラックでは運べない貨物の輸送依頼があったり、トラックの台数が足りなかったりした場合、他者にその貨物の輸送をお願いすることになります。
そのように、実運送事業者でも自社のトラックで運送することもあれば、傭車(利用運送)を行うこともあるということです。
ある運行は実運送、別のある運行は利用運送、そのように実運送と利用運送はその場面場面で適した形で切り替わるのです。
運送業者A社とB社の2社があった場合、ある日はA社からB社に傭車をお願いし、別の日にはB社からA社に傭車をお願いするといったことも日常的に行われています。
まとめると、運送業者には実運送事業者と貨物利用運送事業者があり、自社のトラックで実際の輸送を行わなず他者に委託する行為が利用運送となります。
利用運送事業を行えることで、その貨物の輸送を止めることなく、適したトラックで物を運ぶことが可能となるのです。
物流業のコンサルティングを行う経営コンサルタントに知っておいていただきたい知識を解説しております。
第5回目は貨物利用運送業について。
トラック運送業には、自社所有のトラックで輸送を行っている企業と、他社のトラックで輸送を請け負っている企業があります。
また、自社でトラックを所有している企業でも、持っているトラックであらゆる輸送依頼に対応できるとは限りません。
自社でトラックを所有していない場合や、所有しているトラックでは対応できない場合、当然自車で輸送はできません。
その場合、他者のトラックを借りて運送業務を行うことになります。
他者のトラックを借りる行為は一般的に「傭車(ようしゃ)」と呼ばれます。
(傭車は、運転するドライバーもその他者の従業員であり、燃料代など諸経費もその傭車先が負担します。)
そのように他者のトラック(傭車)を利用して運送を行う業者を「貨物利用運送」事業者といいます。
(※なお、ここでは主にトラック輸送について述べますが、鉄道や船舶、航空の輸送にも同様に利用運送事業者が存在します。
また、トラックを1台も所有せず、すべて傭車で輸送を請け負っている事業者もあります。)
貨物利用運送事業者は、荷主から貨物の輸送を依頼された場合、どこかトラックを所有している運送事業者にその輸送を委託します。
トラックを所有して実際に運送を行う事業者は、「実運送(じつうんそう)」事業者と呼ばれます。
つまり、利用運送事業者は輸送を実運送事業者に紹介する仲介業といえます。
そして荷主からもらった運賃から手数料(仲介手数料)を差し引いた金額を、実運送業者に運賃として支払います。
では、なぜ利用運送事業者が世に存在するのでしょうか。
手数料を引かれるのであれば、荷主が直接実運送事業者に輸送を依頼すれば、実運送事業者は多くの運賃をもらえるのではないか。
そのような疑問を持つかもしれません。
確かに、すべての荷主が実運送事業者に輸送を依頼できれば利用運送事業者は必要ないかもしれません。
しかしそれは実際は不可能です。
荷主はたくさん存在するあらゆる実運送事業者の情報を持っているわけではありません。
実運送事業者は、それぞれ運ぶ荷物の得意分野があります。
たとえば、冷蔵が必要な食品輸送が得意なところ、大型の鉄鋼製品などの資材輸送が得意なところ、振動に弱い精密機械輸送が得意なところなど、それぞれの企業で所有するトラックの種類には限りがあります。
また、長距離を運んでくれる企業もあれば、長距離輸送は受けず中短距離の輸送に特化している企業もあります。
それらさまざまな運送業者の特性を把握し、常に適した運送業者に輸送を依頼できる荷主は限られるでしょう。
また、適した運送業者を知っていたとしても、輸送をお願いする日にトラックが用意できるとは限りません。
そのため、世にあるたくさんの輸送業者の中から適した輸送業者を探してくれる業者、それが利用運送事業者ということになります。
実運送事業者としても、利用運送事業者(元請け)から輸送の委託が来ることで、車両の稼働率を高めて売上を上げることができるというメリットもあります。
なお、実運送事業者であっても、利用運送事業を行っている運送会社がほとんどです。
その理由は上述のとおり、常に自社のトラックで運べるとは限らないからです。
自社のトラックでは運べない貨物の輸送依頼があったり、トラックの台数が足りなかったりした場合、他者にその貨物の輸送をお願いすることになります。
そのように、実運送事業者でも自社のトラックで運送することもあれば、傭車(利用運送)を行うこともあるということです。
ある運行は実運送、別のある運行は利用運送、そのように実運送と利用運送はその場面場面で適した形で切り替わるのです。
運送業者A社とB社の2社があった場合、ある日はA社からB社に傭車をお願いし、別の日にはB社からA社に傭車をお願いするといったことも日常的に行われています。
まとめると、運送業者には実運送事業者と貨物利用運送事業者があり、自社のトラックで実際の輸送を行わなず他者に委託する行為が利用運送となります。
利用運送事業を行えることで、その貨物の輸送を止めることなく、適したトラックで物を運ぶことが可能となるのです。
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