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物流コンサルティング入門(7) ~センターフィーとは

■経営コンサルタントのための物流コンサルティング入門講座(7)


中小企業診断士などの経営コンサルタントが物流に関するコンサルティングを行う際に知っておいていただきたい用語や、物流の仕組みについて解説しております。
第7回目は、センターフィーについて。

小売業の物流センター

スーパーやホームセンターなどの量販店に商品を納入している卸売業や製造業の経営コンサルティングをしていると、『センターフィーが高くて……』という嘆きを経営者から聞くことがあります。

【センターフィーとは】

センターフィーとは、小売業の物流センターに商品を納品する卸やメーカーが、その小売業の物流センターを利用する際の利用料のことです。

商品を納品する都度、物流センターの利用料を小売側に支払わなければなりません。

小売業で自社の物流センターを設置しているのはスーパーやドラッグストア、ホームセンターなど、ある程度の店舗数(数十店から数百店)がある企業です。
従って、センターフィーが発生するのは、それらスーパーなどのチェーンストアと取引がある企業が対象となります。

センターフィーの金額は、「商品の代金×センターフィー料率(%)」で計算されます。
たとえば、商品を100万円分納品し、センターフィー料率が5%であれば、100万円×5%=5万円をセンター利用料の金額として負担しなければなりません。
(センターフィー料率の詳細については後述します)

【センターフィーの根拠①】
では、なぜ卸売業やメーカー(以下、ベンダーと称します)は小売業の物流センターの利用料金を支払わなければならないのでしょうか。

『小売業が指定した物流センターに商品を納品しているだけで、うち(ベンダー)はセンターを利用しているわけではない。』
『小売業が勝手にセンターを作っておいて、我々(ベンダー)にその費用を支払わせるのは理不尽ではないか。』
そう思う人もいるかもしれません。

私も昔(物流の仕組みについての理解が浅かった時代)、そんな風に思っていました。

センターフィーが必要となるのは、それなりに理由があります。

現在センターフィーを徴収している小売企業でも、昔(店舗数がわずかしかない時代)は物流センターはありませんでした。
今でも、店舗数が数店舗(3~10店舗くらい)の地域密着型のスーパーは、自社の物流センターを持っていないでしょう。

そのような時代(そのような企業)は、誰が店舗に商品を納品しているかというと、ベンダー自身です。
ベンダーが直接各店舗にトラックで納品を行います。

この場合、店別の仕分け作業や店舗への配送コストはベンダーが負担しています。



しかし、店舗数が増え、新たに物流センターを設置するようになると、納品先は各店舗ではなく、その物流センターに変わります。

すると、店別の仕分け作業やトラックでの配送は小売業側が行い、そのコストは小売業が負担することになります。
(※店舗別の仕分け作業については、ベンダーから予め店舗別に分けられた状態で納品される(いわゆるTCⅠ型)か、ベンダーからは総量で納品でされる(いわゆるTCⅡ型)かで詳細の内容は変わりますが、ここでは大ぐくりの仕分け作業ということで記述しています。
TCⅠ型とTCⅡ型の違いについては別の機会で解説したいと思います。)



ベンダーの立場からすると、各店舗にそれぞれ自分たちが配送していた頃よりも、センターにまとめて納品できるので楽だし、物流コストも安く済んでいるはず、という見方ができます。

そのように、従来(センターがない時代)はベンダーが負担していた仕分けコストや配送コストを、センターが出来たことで小売業が負担しなければならなくなったので、『その分のコストをベンダーさんは払ってくださいね』というのが、センターフィーが発生する根拠①です。

そうはいっても、『いやいや物流センターを小売業側で勝手に作って、それなりに合理化しているのだからセンターフィーを払う必要はないんじゃないですか。
我々は指定された物流センターに納品して、そこで仕入が発生(=納品が終了)しているのではないですか』と、疑問(不満?)に思う人がいるかもしれません。


【センターフィーの根拠②】

実は、物流センターに商品を納品しても、そこで仕入が発生しているわけではありません。
仕入は、あくまで「店舗に納品されたとき」に発生しているのです。

これは、「店着原価」での契約という商慣習が理由です。
店着原価というのは、店舗に納品された時点での商品代金です。

つまり、商品原価が1個1,000円のものは、店舗に着いた時点で1,000円で仕入れるという契約であって、センターに納品された段階での1,000円ではないのです。

店着原価の原価構成の内訳は、おおざっぱに言うと「商品そのものの代金+店舗までの物流コスト」です。

1個1,000円のものは、仮に何らかの事情があって物流センターに納品できず、ベンダーから店舗に直接納品する場合も1,000円の仕入(納品)金額となります。

ベンダーからセンターに納品された段階では理論上1,000円より安く、たとえば950円であるはず、というイメージです。(残りの50円は小売業側が負担する物流コスト)

『その50円をベンダーさんは負担してください』というのがセンターフィーの根拠②になります。


【センターフィーの料率】
センターフィーは料率(%)という形で計算されます。

その料率はどのように決められているのか。
大半は、商品カテゴリー別に料率が設定されています。

たとえば、加工食品の菓子は●%、調味料は●%、飲料は●%、雑貨品の洗剤系は●%、チルドの乳製品は●%、肉類は●%といった感じで料率が決められています。

それぞれの料率は、センターで掛かる物流コスト(仕分けコストや配送コスト)を計算し、それに対する商品原価で割って算出されます。

たとえば、菓子というカテゴリーは仕分けコストが1ケース50円、配送コストが1ケース100円である場合、掛かる物流コストは150円となります。
(もちろん、物流コストはそれ以外にもスペース費や荷役機器費、光熱費など多くの費用が掛かっていて、それらをすべて含めて物流コストを計算しなければなりませんが、ここではあくまで簡略化して説明しています)

物流コストが1ケース150円に対し、商品1ケースの原価が2,500円とした場合、センターフィー料率は「150円÷2,500円=6%」となります。

そのようにカテゴリー別に物流コストと商品原価を試算し、各カテゴリーの料率が決まるのです。

なお、同じカテゴリーでも小売各社間においてはフィー料率はバラバラで、『あそこの小売企業はセンターフィーがやたら高い』といった話しがベンダー同士でささやかれることも少なくありません(苦笑)。

そして、フィー料率は小売企業側からベンダー側に一方的に通告され、交渉の余地はありません。(よほど大手のベンダー以外は。)

『小売企業側が勝手に決めた料率分のフィーを負担してください。そうでないと取引できません』という状況になっています。
冒頭の経営者の嘆きも、その辺りの事情が含まれているのです。

なお、フィー料率は小売各社の秘匿事項となっていて、世間に公表されていません。
ネットや生成AIで調べても出てきません。

一般的に常温の加工食品や雑貨系のフィー料率より、チルド系のフィー料率のほうが高くなることが多いです。
その理由は物流センターやトラックが冷蔵仕様となっており、その設備費用や電気代などの運営費用が常温センターより高額となるためです。

また、通過型(TC)と在庫型(DC)でも料率は異なります。
DCの場合、TCよりも保管コストやピッキングコストが多く掛かりますので、フィー料率は高くなります。


【店着原価をセンター着原価に変えられないか】
上述のとおり、センターフィーは店舗までの着原価を理由として生じているので、「それではセンターに着いた時点での仕入原価」を決めればセンターフィーが必要なくなるのではないか、と考える人は多いと思います。

いわゆる「センター着原価」と呼ばれるものですね。

実は私自身もセンター着原価に変えた方が、物流コストも明確化されていいのではないかと考えています。

しかし、現実はセンター着原価に変えようという動きはほとんど見られません。
「理由はこれだ」と明言できる知見はないのですが、店着原価の商慣習というのが長く続いており、それを変えるのは膨大な労力が掛かるのも要因ではないかと思っています。
(一部、小売側の買取り責任があるプライベートブランド商品はセンター着原価での仕入がなされている場合もあります。)

【まとめ】
センターフィーはベンダーが小売業の物流センターに商品を納品する際に、小売側が負担している物流コスト分をベンダーが肩代わりする費用です。
それをセンター利用料という名目で「商品代金×料率(%)」で計算された金額をベンダーは支払います。

またセンターフィー料率はカテゴリー別に決められていますが、実際に何パーセントの料率にしているかは小売企業それぞれバラバラです。
フィー料率が高い企業もあり、それがベンダー側の不満につながっています。

不満を解消するには、料率の根拠を明確にベンダー側に提示することが必要でしょう。
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