物流コンサルティング入門(8) ~運行効率を測る実車率とは
■経営コンサルタントのための物流コンサルティング入門講座(8)
中小企業診断士などの経営コンサルタントが物流に関するコンサルティングを行う際に知っておいていただきたい用語や、物流の仕組みについて解説しております。
第8回目は、運送業において運行効率を測る実車率について。

トラック運送業において、経営改善を図るうえで収益を高めることは最大の課題といえるでしょう。
売上を上げ、そして利益を増やす。
経営コンサルタントとして、トラック運送業に関わると、そのための分析や助言をする場面は少なくないと思います。
運送業が収益を高めるための指標はいくつかありますが、今回は「実車率」について解説していきます。
「実車率」とは、トラックが荷物を積んでどれくらい走ったのかの割合を表す指標です。
たとえば、A地点から出発してB地点まで荷物を運び、その後C地点に移動し、C地点で別の荷物を積んでA地点まで戻るという運行ルートがあったとします。

A地点→B地点の距離は500km
B地点→C地点の距離は100km
C地点→A地点の距離は400km
とします。
合計の走行距離は1,000kmです。
そのうち、
A地点→B地点は荷物を積み走行(実車といいます)
B地点→C地点は何も積まずに走行(空車といいます)
C地点→A地点は荷物を積み走行(実車)
した場合、
実車の距離は900kmで、総走行距離に対して90%の実車率となります。
実車率は基本的に「顧客から運賃をもらえて走行している割合」(厳密には異なる場合もありますが)です。
空車率(=100%-実車率)は「運賃をもらえず運送会社が経費だけを負担して走行している割合」ということになります。
従って、実車率が低い場合、その割合を高めて「顧客から運賃をもらえる比率」を高めていくことが必要となります。
なお、実車率は「距離」ではなく「時間」で測る場合もあります。
その場合、総走行時間が8時間で、実車時間が4時間となった場合、実車率は50%となります。
距離で分析するほうがよいのか、時間で分析するほうがよいのかは、その企業の特性や運行形態によって判断してください。
実車率を実際に計測する方法ですが、何キロメートル走行して、何キロメートル実車があったのかを記録する機器が必要となります。
具体的にはデジタル・タコメーター(通称 デジタコ)という機器です。
デジタコは各トラックに搭載され、ドライバーが「今からは実車」や「今からは空車」といった状況をボタンで選択して宣言します。
すると、実車の距離や時間がデータとして記録され、実車率が計算できるというわけです。
デジタコが搭載されていないトラックの場合、運行日報に手書きで実車距離や時間を記入している会社もありますが、記録すること自体や分析するにはやはり手間が掛かります。
実車率は運送業の経営改善を図るうえで重要な指標といえますが、貨物の種類によっては実車率を高めることが困難な運行もあります。
たとえば、建築資材や大型機器を届先に搬入するような運行の場合、基本的に往路は荷物がありますが、復路は運ぶ荷物はありません。
その場合、実車率は50%で仕方ないということになります。(復路の分も計算して顧客から運賃をもらっている場合もあります。)
そのような運行形態の場合、コンサルタントの立場で『実車率が50%しかないので、それを高めていきましょう』と経営者に助言しても響かないでしょう。
1台のトラックが、出発してから帰社するまで複数荷主の荷物を確保することが可能な場合、実車率を高めることは収益を高めるための重要な施策となります。
まとめると、
実車率は総走行時間(もしくは距離)に対して、荷物を積載して走行した距離(時間)の割合で、実車率が低い場合、実車率を高めることが経営改善に大きく貢献します。
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