物流コンサルティング入門(16)~物流の作業効率を測る指標
■経営コンサルタントのための物流コンサルティング入門講座(16)
中小企業診断士などの経営コンサルタントが物流に関連するコンサルティングを行う際に知っておいていただきたい用語、物流の仕組みなどについて解説しております。
第16回目は、物流作業の効率を測る指標について。
物流センターではさまざまな作業が行われています。入荷作業、ピッキング作業、検品作業、仕分け作業など、“荷役”と言われる各種の作業が行われます。
それらの作業効率が良いのか、あるいは悪いのかを把握することを、コンサルティングにおいて求められることがあります。
【効率を測る作業生産性】
物流作業の効率を測る指標には、「作業生産性」があります。
作業生産性とは、単位時間当たりに処理した作業量のことです。
式で表すと、

となります。
分母のMHは“マンアワー”と読み、「1人(man)×1時間(hour)当たり」という単位になります。
(※MHは人時(にんじ)と言われることもあります)
そして、分子の処理量は、それぞれの作業工程で処理した量になります。
たとえば、ピッキングした個数や件数といったものです。
仮にその日にピッキングした個数が1,000個、それに対し掛かったマンアワーが20MHだった場合、
ピッキングの作業生産性は50個/MH(←1,000個÷20MH)
となります。
“MH”は、その作業に従事した人数と、それぞれの人員が作業した時間を掛け合わせて求めます。
4人が5時間ずつ作業したときは、20MHということになります。(←4M×5H)
【作業生産性の評価方法】
作業生産性は、基本的に作業した日ごとに把握し、評価します。
また、日ごとの作業生産性を集計し、「週ごと」、「月ごと」といった期間で評価することもあります。
そして、実績がある程度把握できたら、基準となる生産性を設定します。
基準生産性は、平均値や目標値(たとえば平均値の5%アップなど)によって設定をします。
その基準生産性を達成できたか、達成できなかったかを評価していくわけです。
特に、達成できなかった場合は、『なぜ達成できなかったのか』をつかみ、次への改善につなげていくことが重要です。
さらに、日々や週ごと、月ごとだけでなく、前年同月に比べて生産性が向上しているのか、していないのかといった長期的な評価をすることも大切です。
【作業生産性の意義】
作業生産性は、算出する式のとおり、「いかに少ないMHで多くの作業を行えるか」を追究する指標です。
従って、作業生産性が向上していれば現場で何らかの改善が行われており、効率的に作業ができているといった見方ができます。
一方、作業生産性が低下している場合は、何らかの要因で効率が悪化しているということです。
「効率が悪化している≒コストが上がっている」という見方をすることもできます。
物流の現場はコストを低減していくことも重要な観点ですので、生産性の悪化に対してはその要因を把握し、改善すべき点は改善していくという活動につなげていくことが必要です。
【作業生産性の評価があまり有効でない現場】
作業生産性は、あくまで人間が行った作業時間を分母に取りますので、人間以外が行った場合、指標としてふさわしくないことがあります。
それは、ロボットなどの自動化(省力化)設備を活用している場合です。
たとえば、自動ピッキングロボットなどが導入されている現場では、人間がピッキング作業を行うMHは少なく済みます。
仮に、昨年はピッキングロボットが1台導入されていた現場で、今年はロボットが5台に増えた場合、その分人間が作業に従事する時間は少なくなるはずです。
その場合、人間だけのMHを把握しても、昨年度に対する生産性の評価は意味がありません。
【作業生産性を活用する目的】
作業生産性は上述のとおり、「基準生産性を達成できたか」や「以前と比較して生産性が向上しているのか」といったことを見ていくものです。
「達成できなかった」とか「生産性が低下している」といった際は、その要因をつかみ次なる改善につなげいきます。
それらはあくまで企業内部(その現場ごと)の取り組みであり、他社と比較したり、環境が全く異なる現場同士で比較しても意味はありません。
ロボット導入などの新たな環境変化についても同様です。
作業内容やマテハンなどの変更があれば、作業生産性の評価も変化させていくべきです。
たとえば大幅に省人化が進み、人間がほとんど作業する必要のない工程では、作業生産性を把握する意義はあまりありません。
作業生産性は「今後の改善のために活用する」のが大きな目的です。
SHARE
シェアする
[addtoany] シェアする